(橋詰)
はい、それでは会見の方を始めさせていただきます。
本日はお集まりいただきましてありがとうございます。
この記者会見は、2019年12月10日に発生しました、広島地方検察庁で発生しました、当時、同地検所属の検事が亡くなられた件に関しまして、今年の9月17日に国家賠償請求訴訟を提起させていただき、本日、その第一回期日が行われましたので、
これを機にですね、記者会見を開かせていただいているものです。
従前、ペーパーでもお配りしておりますが、これまでの経緯としましては、
2019年12月10日に当該検事が亡くなられた後にですね、2021年11月29日に公務上の災害と認定するよう広島地検に対して申し立てを行い、
昨年の2023年9月30日に、公務上の災害と認定する旨の通知を法務省からいただいたという経緯になっております。
その後、我々弁護団の方でですね、法務省に対して、その公務上の災害と認定するにあたって、収集した証拠であるとか資料であることの開示などを求めて、それらの収集が終わった段階でですね、訴状の作成等に取り掛からせていただいて、今年の9月17日に訴訟提起に至ったという流れになります。
ペーパーにも記載してあるところですが、9月17日の国家賠償請求訴訟の提起と合わせまして、その開示された、情報公開法に基づいてやってるんですけれども、
その情報開示請求に対して一部不開示、その後の訴訟に対する決定がありましたので、それに対するその決定の取り消しと、開示の義務付けを求める訴えも合わせて、
同日付で提起しております。こちらについてはまだ第1回期日は開かれておりません。
今日は国賠訴訟の方の審理でしたので、これまでの進行を説明させていただきますと、訴状、従前、共有させていただいておりますが、訴状を9月17日付で提出をさせていただいて、その後、法務省の方から2週間ほど前にですね、答弁書の方をいただいております。
答弁の内容につきましては、答弁留保という形で返ってきている状況で、
実質的な認否であるとかそういうものは、現状では出されていないような状況になります。
次に、訴訟の内容なんですけれども、大きく2つに分かれております。
1つは安全配慮義務違反と呼ばれるもの、もう1つは原因調査義務違反及び説明義務違反と呼ばれるものを、内容として訴訟を提起しています。
安全配慮義務違反の内容についてですが、こちらは長時間労働と当時の次席による、
現状の状況、当時の次席による言動、ないし当時の公判部長によって適切な指導がなされなかったことを原因として、うつ病エピソードを発症、増悪させ死亡したとする損害賠償です。
もう1つの原因調査義務違反と説明義務違反ですが、
これは先ほどお配りしております意見陳述の用紙にも記載しておりますが、
当初ですね、広島高等検察庁を中心として調査がなされたのですが、
その原因を当初不明であるとして、公務上の災害であるかどうかについてもですね、
何らの説明もなされていなかったほか、その調査内容も中身を見てみると、
1ヶ月分の超過勤務時間を調べただけにとどまっていたというところで、
そのあたりが原因調査義務違反であるとか、説明義務違反にあたるという主張で、
構成をしております。
最後に本訴訟の目的ですが、検察庁においてですね、同種事案と考えられる事案をいくつか拝見しているところですが、適切な対応についてなされているのかどうか、今現在においても不明というか疑問であるというところです。
そのため、適切な対応をなされない場合にですね、どのような結果となるのかといいますか、先例をですね、示していくということがまず一つ挙げられます。
次にですね、検察庁において、これは先ほど申し上げたこととも関わりますが、
本件に対する認識であるとか、再発防止策が不十分であると感じているところですね、健全な職場環境を実現して、速やかな原因究明ができる体制を構築していただいてですね、同様の事案が起こらないようにしていただくことと、同様の事態が起こった場合に十分な原因究明と説明をしていただくこと、体制の整備を求めていくということになります。
最後になりますが、広島高検から家族に対する説明であるとか、公務上の災害の認定にあたって説明こそありましたが、当該次席検事が机を叩いてですね、修習生以下であるという旨の発言をしたという点について、評価が不明なままです。
この言動が不適切であってですね、決裁において許されるものではないということの確認ということも含めて、求めていきたいというふうに考えている次第です。
本件訴訟に関するですね、冒頭の説明は以上のとおりになります。
先ほど話にもありましたが、今、中央にいらっしゃるお父様の関係では、名前については報道をしないようにお願いしたいことと、顔を写さないようにお願いいたします。 あとは声、まあ録音を今されている方もいらっしゃると思いますけれども、声もあの出す場合は加工してお願いいたします。
以上になります。ご質問等ございましたらよろしくお願いいたします。
(テレビ朝日)
幹事社のテレビ朝日からなのですけれども、国側の答弁書は留保ということでしたけれども、請求棄却を求めるとの文言もないということでしょうか。
(橋詰)
はい、その理解です。請求の趣旨に対しても、事実関係についても留保するという回答で現状きております。
(テレビ朝日)
国の姿勢がまだ明らかになっていないということですか。
(橋詰)
そうですね。そういうふうに捉えています。
(テレビ朝日)
次回12月3日に弁論準備があるということでしたが、それまでに出てくるということでしょうか。
(橋詰)
えっとそれまでにもおそらく出てこないのではないかなというふうに考えております。
というのは本件あの 既に公務上の災害が一応あの一応と言いますか、あの公務上の災害が認定されている事件ですので、あのいきなり国家賠償請求を起こすような事案とはちょっと区別されるのかなというふうに理解しておりまして、国側としてもあのある程度責任範囲というのはあるという前提で、水面下での話し合いか何かが行われるのではないかというふうに理解はしていますが、ちょっと現状どういった内容かというのは分かりません。
で、あっすいません、あとは次回期日はですね、3日だっけ。3日の11時半、すいません失礼しました。
(テレビ朝日)
各社さん、質問ある方はお願いいたします。
(時事通信)
時事通信の渡辺です。よろしくお願いします。細かい点で恐縮ですけれども、法廷で意見陳述述べられていましたけれども、要旨としてはみなさま連名になっていましたけれども、文中で「私」と出ている部分というのは、これは、橋詰先生という趣旨でしょうか。
(橋詰)
はい。読み上げている私という趣旨でございます。
(時事通信)
内容を読むと、訴訟上の要望というよりも、組織に変わってほしいという趣旨が強く感じられる内容と思ったのですが、代理人としてこのような意見陳述をした意味合いというものがあれば教えていただけますか。
(橋詰)
なんて言うんですかね。
当然冒頭でも申し上げた通りですね、損害賠償を、まあそれなりの巨額の数字になると思うんですけれども、そういう結果が起こるっていうことをですね、まあ踏まえていただいた上で、そういうことが起こらないようにするために組織としてどういうふうにすべきかということを考えなきゃならないと思うんですけれども、そういう方向性といいますか、そういうものを訴えると同時にですね、やっぱりどの点から見ても全然変わらない組織だなという印象を持っていますので、そういうところにメッセージ性を持たせたというふうに理解をしています。というかそういう意味合いで作っています。
(時事通信)
あとは、お父様。まあ第一回公判を迎えたわけですけど、今あの、ご心境等ありましたらお聞かせください。
(お父様)
昨年ですか。公務災害の認定をいただきまして、ただその後、いろいろと調べる中でも、まだやはり検察の対応であるとか、家族への対応であるとか、原因の一つではないかと思われた次席検事の言動に対する評価が十分になされてないということの思いをですね、いろいろ橋詰先生などともお話をさせていただいて訴訟に至ったわけです。
今日、そこにようやくスタートラインに立ったのかなと思っておりまして、先ほど国の方から、まずは留保ということでお話があったんですけれども、今後、私どもからの主張、そして国側のお考えとかそういったものもある中で、一緒の方向を向いて、そういうあるべき姿というものに進んでもらえたらいいなと思っています。
先ほどお話がありました今回組織に対してというお話があったんですけれども、家族の立場からしたら、本当に子どもを失った悲しみは今も癒えないというのは正直なところです。
ただ、だからといって戻ってくるわけでもありませんので、やはり子どもが希望を持って入った職場、そこが今回のことを機にですね、また踏まえてより良い組織になってもらうという、そういうふうになる訴訟の一つというか要素になっていただければありがたいというふうに思っています。
(時事通信)
ありがとうございました。
(テレビ朝日)
ほかにございますか。
(弁護士ドットコム)
弁護士ドットコムの一宮と申します。これまでの説明でお話された機会もあったと思うのですが、この検察での同種事案というのは、広島地検であるのか、ほかの地検での出来事なのか、教えていただけますか。
(橋詰)
はい、ちょっと今パッとデータ出てこないんですけども、本件2019年12月10日に広島で起こった件の前にもですね、中堅くらいの検事が亡くなられたりとかですね、そういう、もしくは若手の方が亡くなられたりということは聞いていましたし、官報なんかを見てもそういうことは記載がされていたところであります。
中の噂と言いますか、話なんかでも。
そういったことはあったというふうに認識しています。それが本件前の話としてお話しさせていただいたことで、本件の後の話なんですけど、これは基本的に報道ベースの中で、これは検事には限らないんですけども、甲府でしたかね、甲府の検察事務官が亡くなられたりとか、ちょっとすみません、今パッと出てきたのがそれなんですけど、2、3件ほど伺っている、伺っているというか拝見しているところなのかなというふうな認識でおります。
(弁護士ドットコム)
それで、こういうその訴訟というのは他にはまだ起きていないんですか。
(橋詰)
訴訟は、甲府は確か訴訟を提起していたんじゃないですかね、公務災害を飛ばしていきなり訴訟提起をしていたような認識でいます。
で、他に検事の方が亡くなって訴訟をしているという事案を私は把握していないです。
(時事通信)
意見陳述によりますと、みなさまのうち3名の方なんですけど、3名の方は、かつて検察庁で検事やっておられた方々と伺っております。
橋詰先生からは、先ほど全然変わらない組織だといったような評価がありましたけれども、他の先生方でも、そういうプロフィールを明かすのが支障がなければ、検察庁が抱える問題意識という、こういうことが問題なんだという問題意識が、もしありましたらと思い伺います。
(橋詰)
それぞれ。
(時事通信)
そうですね。それぞれでも、もし意見がおありであれば、全体はこれに集約されているんでしょうけれども、個別にご回答いただけますか。
(高橋)
一言だけ話をさせてもらいますけれども、自浄作用が働かない組織だというのは、思っています。
そもそも人事も含めてすごく硬直した組織で、検察庁としては、クローズの中で、
自分が上から評価されて、人事のレースがあっていく中で、なかなか下から声を上げづらいというところもありますし、外部の者からは閉鎖させるという、それが日本の治安を守っているとか、いろんな立場あると思うんですけど、全然外部から批判さらされづらいとか、もちろん判決の問題もありますよ。
だけど基本的に組織構造とか、中の運営状態とか、そういうところについて、特に指摘されてこなかった点が多いんじゃないかなと思っていまして、中にいた身としては、本当に自浄作用は全くないんだろうなと。
何かこう、証拠改ざんとか、大きな問題がでたときに初めて、外部的な問題が起こったときに初めて、例えば、供述調書をやめようとか、外部的なものがないと、なかなか自浄していないなというところが痛感するところです。
(山本)
同じく元検事の山本と言います。
今まさに外部的なものがないと、なかなか変わりづらいのかなという話が出ましたけど、私も元々中にいた者として同じような感覚を持っています。
なので、今回のこの訴訟を通じて、外から、検察を変えていけたらなと。意見陳述でも話がありましたけど、現場の検事とか副検事、あるいは事務官をもっと大切にする検察庁であってほしいなと思っています。
(橋詰)
お父様からも一言
(お父様)
すみません。私の子どもの思いというか、それに絡んでお話をさせていただくと、
子どもは検察という仕事、これは、人の人生を左右する非常に大事な仕事であり、またきちんと正しいものを求めていかなければいけないという話をしていました。
やはり検察というところが、正しい組織であるということはすごく大事なことだと思っています。
ただ一方で、そういう正しさ、まずは組織が正しい、だから誤りは認めないとか、不祥事があってはならないというようなことではいけないと思っています。
本当にまさに、そういう大事な正しくあるべき組織だからこそ、自らに厳しい目を向けてしっかりと戒めていくというのが、それが検察の信頼を保ち、高めていくことだと思っていまして、今、(元)検事の皆様がお話しされたように、やはり自らの組織にしっかりとした目を向けるということは、大事なことだろうと思っておりまして、子どももそれを思いながら仕事に励んでいたというふうには思っています。
(テレビ朝日)
広島高検とは何とかお話しされていると思うんですけれども、最高検ですとか、そういったところとは話をされていないのですか。
(橋詰)
はい、最高検とお話をしたことはありません。
これまでお話をさせていただいたのは、あくまでも原告代理人なり原告としてということですけれども、広島高検の方と法務省の方ですね、あとは地検の方ですね、その3つのカウンターパートといいますか、そういう方が出てきていただいて、ご説明をいただいていたというところです。
(テレビ朝日)
法務省は何という課が担当されているのですか。
(橋詰)
災害保障課でしたっけ、ちょっとすみません、正確な名称が出てこないんですけど、ちょっと後で、メールか何かさせてください。
そういう、公務災害の認定をするにあたって、そういう対応をしていただく部署があるんですけれども、そこの方なりそこの管轄する部の方が出てきていただいてたという記憶です。
(テレビ朝日)
謝罪というのは、これまでにありましたか。
(橋詰)
謝罪?
事象自体に対しては、そのなんていうんですかね、どういうレベルのものかっていうところにもよるんですけれども、納得がいくかどうかという意味では、「ない」という回答になると思います。