目次
記者会見の目的
去る2022年(令和4年)8月2日午後2時から、厚生労働記者クラブにおいて記者会見を行いました。
この記者会見は、同日、公務災害認定を求めた申し立てに関する進捗状況の確認、我々(ご家族及び弁護団)の問題意識の伝達のために法務省担当者と面会の機会を設けさせていただいたことから、その報告と、亡くなった検察官のご家族の声を直接お伝えしたいとの意向から開催されたものです。
以下のリンクのとおり、各メディアから報道をしていただいているところであり、多大な反響をいただいているところです。取材をいただきましたマスコミ各社の方々にはこの場をお借りして御礼申し上げます。
報道状況
取材をいただいた各社の報道状況は以下のとおり(全てフォローできていないかもしれませんが、ご容赦ください。)
共同通信
ニコニコニュース(弁護士ドットコム)
https://news.nicovideo.jp/watch/nw11249727
広島ホームテレビ
https://www.home-tv.co.jp/news/content/?news_id=20220802164979
時事通信
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022080200905&g=soc
NHK
https://www3.nhk.or.jp/hiroshima-news/20220802/4000018819.html
朝日新聞
https://www.asahi.com/articles/DA3S15127570.html
記者会見の内容(文字起こし)
マスコミ各社のご尽力により、さまざまな角度から報道をいただいている状況ですが、ご家族のお気持ちがより正確に伝わればという観点から、記者会見の内容を文字起こししたものを以下掲載させていただきます。(若干誤字脱字があるかもしれませんが、その点はご容赦ください。)
厚生労働省記者会における記者会見内容
幹事社:
時間になりましたのでよろしくお願いします。
橋詰:
本日はお集まりいただきましてありがとうございます。
私、弁護士の橋詰と申します。
今回、広島地検で発生した検察官の自殺の事案に関しまして、公務災害の申し立てを行なっているところなのですが、それにあたりまして、先ほど法務省の担当と面会の機会をいただきまして、そこで進捗状況でありますとか、今後の見込みでありますとか、そういうところについて質問をさせていただいたほか、再発防止のために職場環境の改善の状況がどうなっているかとか、今後どういう風にしていくつもりなのかについてご質問をさせていただきました。また、そのほか、先日令和3年の11月29日に公務災害として認めるよう申し立てを行なった後、亡くなった検察官のご友人等による署名活動と言いますか、そういうものをさせていただいたほか、我々の方で、再発防止に関する提案書・要望書といったものを作成して法務省の方に提出させていただきましたので、そのご報告ということで、ご家族の方も同席いただきましてこの席を設けさせていただきました次第です。どうぞよろしくお願いいたします。
幹事社:幹事社から質問させていただきます。法務省の担当者と面会をされたということですが、具体的にどのようなお話をして、どういったご回答を得たかなど伺えますでしょうか。
橋詰:質問内容は多岐に渡ったのですが、主に、今回の事案につきまして、申請からもう8ヶ月ほど経過していますので、進捗状況がどうなっているのかと、進捗の状況についてあれだったら、今後どのような見通しになるのかご回答いただけないかをご質問させていただきました。
その点に関してなんですけれども、法務省の担当者からの回答としては、進捗状況について回答はできず、どの程度の見込みになるかについてもご回答いただけなかったところです。そのほか、こちらの方から再発防止のための職場環境の改善、具体的には、時間外労働時間の把握に努めるために、機械的な方法によって時間管理をするようにして欲しいであるとか、ハラスメントに関して、人事に踏み込んだような形でハラスメントの対応をしてはどうかというところを申し出たところでありましたが、検討しますとの回答をいただいたところでした。
NHK: 何点かあるのですが、まずお父様の方にですね、息子様がどういった方であったか、今回初めて会見に臨まれているというふうにお伺いしていますので、会見に出ようと思った理由について何かありましたらお願いいたします。
お父様:
お答えさせていただきます。子供の性格というものでしょうか、まず真面目で、何事にも真剣に向き合うものであったと、親の欲目かもしれませんが、そのように思っております。それゆえに、難しい試験を一発で合格したというもので、希望を持って、検察という組織に入れていただいたという風に思っておりまして、その意味では、私の子にしては出来過ぎの子だったと正直思っております。
今回、皆様の前に立つことは初めてですが、これまで、このような場に出てこなかった理由は二つございます。
一つは、我が家に、我が子供に起きたことがあまりに突然で、また衝撃的なことでした。そして、その理由も原因もわからないままにですね、これまできております。この間、広島高検からご説明を一回はございましたけれども、その内容に納得もいかないままですね、おりましたというところで、そういう中でですね、ことの大きさなんかも含め、私の親族、あるいは、住まいの周りの方あるいは、職場、こういうところへの迷惑も含めまして、本当にごく一部の方にしかお話をしてこなかったというのが実情でございまして、今も私のごく身近な高齢の親族は、子供の死を知らないままですね、おりまして、今もって、子供の話を私にしてくることがございます。そのような状況が今もあるということでございまして、その意味で、今回のこの場に臨ませていただくにあたって、名前あるいは姿というものをですね、皆様に伏せるという事でお許し、ご理解いただきたいというところで申し上げたところがございます。もう一点は、マスコミの方に誠に失礼になるかもしれませんが、皆様からの取材を受けるのが少々怖いという気持ちがございました。そう至った理由といたしまして、子供の死から半年程度経った時期に、私どもの中ではまだまだ消化しきれていない時期に、一部のマスコミの方、週刊誌の方が突然お越しになって、広島での子供の死につきまして、当時、河井議員の収賄事件がございまして、その事件に関わって参加して、その中でパワハラを受け、そして、そういう選択をしたと、原因はそれです、というようなお話をいただき、コメントを、ということがございました。それまで私共が広島高検から受けていた説明とは全く違うものでしたので、その内容にはコメントできません、ということでお答えしたのですけれども、それからその上でやりとりがある中で、私どもお答えはしていなかったのですが、仮にそういうことがあれば、やはり検察として再発防止が大事ですよねというお話がありまして、私ども一般論としてですね、それにうなづくようなところがあったのですけれども、そのことを捉えて、ご家族はこういっているという、我が家の対応を切り取る形で、我が家のコメントとして出たものですから、非常にそのマスコミの方にお答えするのが果たしていいものだろうかという思いになりました。後日、私の子供の隣で仕事をしていた橋詰弁護士からそういう河井議員の事件には全く関わっていなかったことを改めて教えていただいて、申し訳ありませんが、メディアの方、マスコミの方の取材に対しては、ますます消極的になったというのが本音でございます。逆にそこから一歩出て、今日こうやって出させていただいたところなのですが、先ほど橋詰弁護士からもお話がございました。公務災害の申請をさせていただいてから半年、8ヶ月余りが経過したところですが、その間、内容が伝わってくるものではなかったということ。正直、私ども、事実がどうであったか、そのことを知りたいということ、そして、今となっては子供は帰ってきませんけれども、今も検察で働かれている方が多々いらっしゃって、そういう方々に、私ども家族のようなですね、悲しい思いというか辛い思いを2度として欲しくないという気持ちがありまして、もし私が、こういう皆様の前に立って、あるいは、法務省の方にお会いして、そういう事で物が少しでも動けばという思いを持って今日は出させていただいたというところでございます。
NHK:
弁護士の方に質問なのですが、国家公務員の公務災害の場合、公務災害の認定のいわゆる手続をするところというのは、法務省ということになるのでしょうか。
橋詰:
国家公務員の災害補償は、国家公務員災害補償法に規定されているのですけれども、今ご指摘いただいたとおり、公務災害、公務上の災害であるとの認定をするのは、実施機関とされている法務省になります。今回のケースでは。申し入れの方は、我々広島地検の方にさせていただいているのですけれども、それは法律上補償事務主任者というのですが、事実調査の方は、基本的に広島地検の方でなされるためです。その事実調査を広島地検でやった後に、災害報告という形で法務省の方に上がって、人事院と時に検討を重ねた上で検討を出されるというそういう理解をしております。そのために、認定機関である法務省と面会の機会を設けさせていただいた次第です。
共同通信:
お父様に質問させてください。
そもそも今回の問題ですが、息子さんがお亡くなりになった1番の原因だったりですね、検察という組織と言いますか、組織的なところに一番問題があるとお考えなのか、お父様の考えをお願いします。
お父様:
まず、私は、今回、公務災害の申請をさせていただきましたが、第一の目的は事実関係、事実を知りたいということでございました。当時、子供は多くの仕事を抱え、そこに悩み、その苦悩もしていたということだと思っております。そうした中で、なぜ亡くなったのか、どうしてという思いが一番にあります。そういう中で、いろいろお話を伺ったり、子供の残したスマホの中の気持ちとか、大きな揺れとか、上席者の方に激しいというか、人格を傷つけるような言葉、激しい態度での指導を受けたそこに、深く落ち込むようなものがありました。
そういうことを、親の欲目で見てはいけないと思いまして、きちんとした形で事実を調べていただきたい、それが最大のことでありまして、そこから何か原因がわかればと思いますし、先ほどの話ではありませんが、今となっては戻ってこない子供に代わってですね、今の原因が特定され、ある程度示され、きちっとした取り運びが然るべき再発防止になるようなことが行われれば良いなという風に思ってのこういう動きでございます。
正直、先ほど弁護士からもございましたが、なかなか検討が進んでいないということにつきまして、公務災害という組織との関わりを調べなければならないということはあるのでしょうけれども、大変時間がかかっていて、この間にも検察の職場において、もし問題があるとすれば、そこで同じような悲劇が起きて欲しくないと思っております。そういう意味でしっかりと御対応いただきたいというのが大きなお話です。先ほど、検察の組織の問題ですということなんですけれども、私の子供が仕事の量で悩み、上席者からの指導で落ち込み、そういう色々伺う中では、そういう上司の方が、それまでも指導振りには問題があったというお話も聞こえてきました。これまでも同じような出来事が繰り返し起きていたこと、心の病の方も多数出ていらっしゃるということ、そういうことを踏まえると、検察という組織自体、自浄というか、自ら振り返って、せめて今回私共の子供の事案を一つ踏み台にしてしっかりとした対応を図っていただくというのが、今思っている最大のお願いというか、思いでございます。
共同通信:
橋詰弁護士に伺いたいのですが、最初の話の中で、ご友人からの署名という物があったと伺ったのですが、署名を集めるに至った経緯などがあれば伺いたいのですがどうでしょうか。
橋詰:
前回公務災害の申請をさせていただいた後に、ご友人の方から直接私の方に連絡を頂きまして、我々も何かしたいというお言葉をいただきましたので、その形として署名という形で結実したということになります。内容はお見せすることができないのですが、私も知らなかったのようなことでありますとか、もしくは、非常になんというんですかね、思いが伝わってくるというんですかね、数じゃない、質が伝わってくるものをいただいたと理解しています。
共同通信:
それは会社というか、職場の同僚というよりかは、学生時代の友人なのでしょうか。差し支えない範囲で。
橋詰:
職場ではないです。
共同通信:
現在の検討状況のところで、広島地検が調べて、最終的な認定を法務省がされるということですが、そのフローがどこまで上がっているかについても現状ではわからない。
橋詰:
明確な答えはなかったのですけれども、回答の全趣旨を踏まえると、広島地検で止まっているということのようです。
時事通信:
過去の労災のケースを見ると、安全配慮義務を争点に裁判で民事上の責任を争っていくケースも散見されるのですけれども、今後の見通しとして、民事裁判を起こす予定があるのかどうかについてお願いします。
橋詰:
ご指摘いただいたとおり、公務災害、労働災害の場合には、認定を受けた後に民事訴訟を提起することが非常に多いということは聞き及んでおります。今回の件に関してもですね、当然、タイミングの問題はありますが、民事訴訟、国家賠償請求になるんですかね、その辺りについては、当然検討しております。
東京新聞:
細かい点で一つ、時間外労働時間に関して、弁護団の方で算出されたものなのか、検察の方から提出されたものなのか教えていただきたい。
橋詰:
まず、算出の主体、誰がしたかについては、我々がしました。根拠となるものにつきましては、地検なり法務省の方に資料を出してほしいとお願いしたところ、本人が使っていたPCのログインログオフのデータであるとか、1ヶ月分ではありますけれども、入退館、広島地検は、入退館をカードでしていましたので、入退館記録1ヶ月分を開示いただけたので、それらに基づいて算出したものになります。
東京新聞:
もう一点確認したいのですが、算出した数字を拝見しますと、過労死ラインを超えている残業時間になっていると思うのですが、公務災害だと、民間と比べて認定までに時間がかかるとか、そういう公務災害ならではのものがあるのでしょうか。
橋詰:
申し訳ないです。分からないです。使っている基準は同じで、労災のガイドラインと同じものを使っていて、基本的には大きくは変わらないとの認識です。
読売新聞:
お父様にお伺いしたいのですが、先ほどお話の中で、息子さんのスマートホンの中に、病んでいる様子であるとか、厳しい状況が描かれていたというお話があったと思うのですが、どういったものに、どういうようなものが残っていたか、可能な限りで結構ですので、教えていただけませんか。
お父様:
仕事をですね、色々事案を片付ける、きちんとこなす中で、決裁官の決裁を受けている、上席者の、直属の上司の決裁を受けた上で、そこの上の方の決裁を受けに行った場面で、その内容について、非常に稚拙であるとのご指摘を受け、修習生以下であるとの指導であるとか、そして、それを指導、伝える中で、机を叩きながらそういう指導、話を繰り返すような場面があって、そのことに非常に落ち込んで、検察官になったこと自体を失敗だったんだろうか、というような思いにまでなるような内容であったかと思っております。
これもまた、橋詰弁護士が連絡をくれてお話をさせていただく中でしたが、我が子ながら、欲目で言ってはいけないのだけれども、一つ一つしっかり仕事をこなしていたと周囲の方には評価をいただいていたようです。そして、直属の上司の方をクリアしてきちんとしたものを、その理由がわからないままに、そこに納得感がないままで、非常に厳しく、普通使われないような言葉であるとか、あるいは態度で指導を受けたことにものすごくショックを受けていた。私どもは、そうしたことについて、やっぱり、事態が事態だったので、広島地検の方自身も、今回はしっかり調査をしますということを約束してくださり、そのために、私どももそういった情報、当時こんなこともあったようです、ということもお伝えしたというようなことがございました。そして、それを踏まえた上で、いろんな調査をしていただいたというふうには思っておりますが、すいません、ちょっと言い過ぎますけれども、その内容が、最後、むしろ子供の仕事の取り運びであるとかいろんなことに、原因があったかのようなニュアンスを含め、説明を受け、最後原因はわかりませんでしたと。
先ほどの、ちょっとパワハラめいたという言葉を使って良いのかわかりませんけれども、事実は確認をしていただいたようなのですが、そこに関する評価はないままに、原因はわからないと結論づけられた、そういうことがございました。私は、自分の子供だけがいいとは思っておりません。私は、その時の事実、その時何があったんだろう、子供に失礼があったのであれば、そのような指導を受けるのであれば、それは致し方ないところだと思います。ただ、そこのところがわからないままに、そういう指導をしたことについての評価がないままに、色んなことが進んだことが悩ましくもあったなという、子供の残した言葉からですね、そこまでいろいろなことがあったかなと思っております。
読売新聞:
スマートフォンの中身というのは、メールとかのやりとりだったのか、普通にこう、日記みたいに記録されているものだったのでしょうか。
お父様:
ごく近しい、同期の方への愚痴というか、思いというか、そういう内容。
読売新聞:
メールとかでのやり取り
お父様:
はい。
朝日新聞:
こちらお父様でも橋詰弁護士でもどちらでもお答えいただければと思うのですが、経緯の確認といたしまして、今お父様の経緯の確認といたしまして、広島地検から一定の事実、調査で確認された内容のご説明があったということだったのですけれども、公務災害についてはまだ、広島地検の方は確認中ということで、お父様に説明があったのは、どのタイミングで、どういう趣旨での説明だったのか教えていただいてよろしいでしょうか。
お父様:
少し正確に申し上げますと、私どもは広島地検に、当初、事件の直後ですね、広島地検の方に、こういうことが、子供の痕跡からはあったと、そして、広島地検もしっかり調査をしますということでした。ただ、この内容、上席者の方というのは、やはり広島地検の方でしたので、一定の客観性を保つために、広島高検の方が調査を行う、高検が責任を持って調査を行うということをされたと認識しています。そして、当時の彼の仕事の様子であるとか色んなことを周囲の方にヒアリングをしたり、あるいは、その状況、そういう上司の方の指導であるとか、その辺りについてひととおり調査をされたのだというふうに思っております。
お話をしてから2週間くらいがしたところで、ひと通りの調査が終わりましたという連絡をいただいて、年明け早々に、(事態が)年末でございましたので、広島に出向き、説明を受けた。その際の説明が、今ほど申し上げましたような、上席者の強い指導があったことは本人も認めている、というそういうお話。ただ、そこの評価はないままに、当時彼は、子供は仕事をだいぶ抱え、その取り運びに悩んでいた、そこには取り運びのまずさ、といった彼に責任があるかのようなですね、ことをご説明いただきながらということだったと思っております。今ほど法務省の方でお話を伺って、公務災害、公務との関わりということをしっかりと調査することはあるかと思うのですけれども、これだけの期間がかかっている、そしてまだ、今持って地検でですね、色んな事実の積み上げというのでしょうか、それがやられていると理解しています。
そして、正直なところ、お願いしてからこれだけの時間がかかっていることに非常に残念な思いがあるということですが、裏を返すと、しっかり調査をしていただけるのだろう、当時の広島地検の調査はなんだったんだろう、という思いを正直もつところでもあります。
朝日新聞:
当時の広島地検の説明で納得がいかない部分があったというのは、御子息に不味さがあったかのような言いぶりがあったということがあるし、その前段として、今にして思えば、きちんと調査がなされたか疑わしい、とそういうお考えでよろしいのでしょうか。
お父様:
私どもが一方的に自分の子に非はない、とかですね、そういうことを言うつもりはございません。本当に、きちんとした調査をし、きちんとした事実を汲み上げてご説明いただけたらありがたいなぁと思ったところです。当時、その、広島高検から受けた説明の時に、子供の突然の行動で、職場にご迷惑をかけたと言う思いも、あるのではないかと言う思いも持っていました。その中で、そう言う説明を受けて、正直なところ、納得が得られないのも事実で、直接ですね、当時の同僚であるとか、上司の方のお話を伺いたいと言うことを申し出たのですが、その時には、それはやめてくださいと言うことで断られる、非常に残念な思いをしたところです。
当時としては、職場の動揺とか、そう言った配慮もあるのかなぁと聞いたところなのですが、後日、橋詰弁護士とお話させていただく中で、現場では、箝口令が敷かれたと言うようなお話を伺いまして、それも高検の調査あるいは、高検自身について不信感を持つにつながっている、そう言うふうに思っています。
NHK:
亡くなられた方の所定勤務時間というのは何時から何時でしたか。
橋詰:
ちゃんと定時が決まっていて、確か、9時15分から午後6時だった記憶です。
NHK:
これは多分今の公務災害というよりかは、もし国家賠償を起こすならという話だと思うのですが、36協定とか色々あると思うのですが、検察官の残業の規制などはどういうシステムになっているのですか。
橋詰:
検察官に関しては、36協定というのはなくてですね、人事院からの、正確な用語を忘れてしまったのですが、勧告ですかね、規則みたいなもので決められております。ちょうど、事件が起こった令和元年、平成31年度と言いますか令和元年度と言いますか、ちょうど労働基準法と同じような形で、時間外労働時間については、45時間以下にするようにとか、80時間超えてはいけないと言ったルールが適用されています。
弁護士ドットコム:
まずお父様にお伺いしたいのですが、今日法務省の担当者の方とお会いして、お父様の方からもお話しされたのでしょうか、内容について期待感を持てるものがあったのかどうかについて、お願いできますでしょうか。
お父様:
あの、先ほどもちょっと申し上げましたとおり、これまで、物事が動かない、公務災害の申請をしてからですね、物事が動かない、これを法務省の方と直接お話しすることで事実が確認できたり、進捗状況が確認でき、これが起点となり進めばということで参ったところですが、まだ調査の段階、それも広島地検でのファクトの確認というか積み上げというかそういう段階であるということを聞いて非常に残念な思いをしたところです。逆に言えば、こうやってお話をして、弁護士とも一緒に伺い、今後の進捗について、ある程度こう進めてほしいという要望をし、それに対して、回答をしていきますという答えをいただけたことにはやはり意味があったのかと思っています。
弁護士ドットコム:
橋詰弁護士に伺いたいのですが、元同僚だったということもあって、当時の仕事上の多重労働というかその背景についてどういうことがあったのか、検察の検事の人員が増えないとか、裁判員裁判の資料の作成であるとか、一般的な話で結構なのでお願いします。
橋詰:
回答になっているかわからないのですけれども、一般論として検察官の仕事が多忙になる原因としては、今おっしゃったとおり、公判部であれば裁判員裁判の資料がかなり多くなりますし、携帯電話スマートフォンのデータの解析で、かなり膨大な資料ができるようになっています。そういう背景で、証拠量が昔よりかなり多い状況になっています。あとは、取り調べも録音録画になっていて、全体的に時間がかかったりとかしたりするようになっていて、どうしても時間がかかりがちなんですよね。
あと個別の要因としては、私の意見ではありますけれども、決裁官次第でなかなか決裁が終わらないとか、決定をしてくれないような決裁官もいらっしゃいますので、そういう方にあたったりとかすると、非常に残業時間が増えていく傾向があるのかなと考えています。
共同通信:
民事裁判の話もありましたが、それが今回の公務災害の認定が認められたらという話でしたが、仮の話で恐縮ですが、認定されたなかった場合、却下された場合には、流れは何か想定されていることはあるのですか。
橋詰:
認められたら、という表現は、誤解を与えたようで申し訳ありません、なんというのですかね、スムーズに認められればシンプルな流れになりますので、なかなか時間が経っているので、先に申し立てるということもあり得ると思いますし、公務災害が公務外であるとなった場合には、それに対する不服申し立ての手続もありますし、色んなケースが考えられるので、現状こうだということは決めていません。