第一回公判期日後の記者会見を行いました。

2024年11月19日16時から、司法記者クラブにおいて、亡くなった検事のお父様と弁護団が参加の上、記者会見を行わせていただきました。

報道内容につきましては、以下のリンク等をご覧ください。

弁護士ドットコムニュース

https://www.bengo4.com/c_1017/n_18164

記者会見の全文

記者会見について、正確性を期すために全文を掲載させていただきます。

国家賠償請求の第一回公判が開催されました。

2024年11月19日15時から、東京地方裁判所において、国家賠償請求事件に係る第一回弁論期日が開催されました。

期日においては、訴状及び答弁書(答弁留保)が陳述されたほか、以下の内容の意見陳述をさせていただきました。

意見陳述につきましては、報道等されているところではございますが、ここでは全文を掲載させていただきます。

意見陳述要旨

原告ら訴訟代理人の意見陳述要旨は、以下のとおりです。

第1 「本件について調査を行ったが、死亡した原因は、分からなかった。」
 令和元年12月10日に広島地方検察庁に勤めていた検事が亡くなった後、広島高等検察庁を中心とした調査が実施され、翌令和2年1月10日に、広島高等検察庁の総務部長から原告らに伝えられた調査結果は、このような内容でした。
 原告らは、調査が始まる頃までに、亡くなった検事が広島地方検察庁の当時の次席検事から机を叩かれながら「修習生以下である」旨の発言をされたことを把握しており、広島高等検察庁に対しても、資料とともに、当時の次席検事による発言等の存在を伝え、これが死亡の原因となったのではないかとの疑念も伝えていました。
 しかし、広島高等検察庁が原告らに対して行った説明では、当時の次席検事によるこれらの言動等について、なんら評価されることはなく、当該言動の存在とその前後のやりとりについては、調査結果に基づく事実の確認がなされたのみであり、それが指導として正しかったのか、不適切でありやってはいけなかったのではないか、という点には触れられませんでした。
 また、「死亡した原因は分からなかった」とした広島高等検察庁の調査を終えた段階において、同高検は、亡くなった検事の超過勤務時間に関し、わずか1か月分だけを調査しただけであり、それに基づいて、「分からない」との報告をしていたのでした。
 広島高等検察庁が「分からない」と伝えていた本件は、原告らが公務災害を申請した結果、検察庁での業務に起因していることが認められ、公務上の災害であることが認定されました。
 原告らがこの申請をしていなかった場合、真相の究明や本件が発生した原因などが分からないまま、遺族である原告らにも適切な補償がされないまま、本件は忘れ去られていたことでしょう。
 このような検察庁の杜撰な対応は決して許されることではありません。

第2 我々が本件訴訟を提起した趣旨は、法務省ないし検察庁において、本件と同様の事案が二度と発生しないよう、再発防止を徹底していただくよう訴えていくとともに、想像したくはないものの、万一同様の事案が発生した際の対応について先例を示すとの点に集約されます。
 先ほど述べましたとおり、我々の目から見て、当初行われた広島高等検察庁が実施した調査は不十分と言わざるを得ない内容でしたし、我々の申し出を受けて行われた公務上の災害と認定するまでに行われた調査等によっても、当時の次席検事による言動等が極めて不適切であり、指導としても行うべきではない点にすら、何らの評価も言及もされていないことについては、法務省ないし検察庁において、本気で原因を究明するつもりがあるのか、強い憤りを覚えるものです。
 すでに報道でも出ているとおり、法務省・検察庁の内部においては、同様の事案が断続的に発生している状況です。本件前にも複数名の方が職場環境を原因として自ら命を絶っており、本件後も同様の事象が発生しているとの報道等を耳にしています。これらの状況を踏まえても、本件なり、他の同種の事案を戒めとした十分な再発防止策が取られているとは考えられない状況が続いており、原告らが感じた憤りを同様に感じている方が多数おられるのではないかと強く懸念しているところです。

第3 本件訴訟の原告ら代理人5名のうち、私を含め3名は、かつて検事として検察庁に勤務した経験を有する弁護士です。
 また、私自身は、広島地方検察庁公判部において、本件で亡くなった検事の先輩として、共に執務をしていました。
 彼は、将来有望であり、私も先輩として、今後の成長をとても楽しみにしていました。それだけに、本件が発生したことは、痛恨の極みというほかなく、何かできることはなかったのかと、未だに後悔といいましょうか、無力感といいましょうか、そのような感情を覚えます。
 将来有望な人材を失ったことは、検察庁としても大きな損失であったはずです。本件のような事案は、二度と発生させてはいけないのです。
 昨今の検察庁をめぐっては、大阪地検検事正による事件、取調べに関する問題、再審事案に関する談話の問題等が話題となっています。
 これらの問題は、本件とは直接関係がないように見えるところではありますが、検察庁という組織の中にいた経験がそうさせるのでしょうか、それぞれ、上司と部下との関係に根ざした事案、これまでに何度も再燃している事案、外部からの見え方・世論に対する疎さを露呈した事案のように見え、本件と共通するもの、もう少し踏み込んで言えば、法務省ないし検察庁に根ざしている閉鎖的な体質によって生じた問題としての共通項を見出さざるを得ません。
 我々は原告の立場にあり、国ないし法務省・検察庁は被告の立場にこそありますが、我々が真に求めていることは、対立というよりは、亡くなった検事の家族として、短いながらもかつて勤めていた検察庁のOBもしくは同じ法曹として、現在、職場に残っている検事、副検事、事務官をはじめとした職員の方々が精神等を追い込まれることのないよう、健全な職場環境を実現するために、速やかに問題の原因を究明する体制を構築して、再発の防止を徹底していただき、同様の事案が起こらぬよう努めていただくこと、問題が起こった際には、関係者に寄り添い十分な原因究明を行うとともに、直ちに問題を解消できる体制を整えていただくことに尽きます。
 私が検事になった頃、大阪地方検察庁で発生した証拠改竄事件を受けて「検察の理念」というものが作成されましたが、今は話題に上がることすらもなくなりました。また、本件と同様の問題が起こった際に、先輩方が内部で問題提起をされていたようですが、結局、内部で何かが変わったということを感じることはありませんでした。
 今回の件を、これらのように、ほとぼりが覚めたら何も変わっていなかったということで済ませるわけにはいかないのです。
 もうじき、本件の検事が亡くなってから5年もの月日が過ぎ去ろうとしています。国ないし法務省・検察庁においては、本件を機として、速やかに問題の根本的解決に取り組んでいただき、適宜その内容を明らかとしていかれるよう望む次第です。

以上、原告ら代理人の意見陳述とさせていただきます。

国家賠償請求訴訟を提起しました。

令和6年10月18日夕方頃から報道されておりますとおり、令和元年12月10日に広島地方検察庁において発生した検察官の自死事案につきまして、令和6年9月17日付けで、 東京地方裁判所に国を相手とする国家賠償請求及び情報公開請求に対する不開示決定取消等を求める訴訟を提起しました。

訴訟提起がこのタイミングとなりましたのは、令和5年9月22日に公務災害を認定する旨の通知をいただいた後、公務災害の認定に関して収集等された資料の情報公開請求を行なっていたためです。
この情報公開請求に関しては、かなりの部分が黒塗りで公開され、その一部について、本件につき重要な資料が含まれていると考えられたことから、不開示決定に対する取消訴訟を併せて提起することとさせていただいた次第です。

昨年、公務災害の決定を受けた際の法務省の説明では、公務災害の認定に当たって必要な点のみを認定したとの理由から、叱責を受けたことに対する評価には立ち入っていない旨説明があったところです。しかしながら、このような姿勢で本件を扱われたのでは、今後同様の問題が予防できるとはとても思えません。発生した事象について、真摯に検討し、その原因について検討分析をしなければ、同種事案の再発防止につながるとは考え難いものです。

第1回期日は、令和6年11月19日午後3時から開催される予定です。

期日が終わりましたら改めてご報告をさせていただきたいと考えております。

法務省から公務災害と認定する旨の通知をいただきました。

 12月4日夕方頃から報道されておりますとおり、令和元年12月10日に広島地方検察庁において発生した検察官の自死事案につきまして、令和5年9月22日付けで公務上の災害と認定する旨の通知を法務大臣名義で受領しましたのでご報告させて頂きます。

 公務上の災害との認定がなされた報告がこのタイミングになりましたのは、前記通知受領後、令和5年11月9日に法務省、広島地方検察庁、広島高等検察庁の担当者らから公務上の災害を認定したことに関する説明を受ける機会を頂くこととなっていたため、その説明後に、その内容と併せて公表させて頂きたいと考えていたためです。

 前述の説明の機会では、検察庁内部において、PCログとの突き合わせを行うことによって、より正確な勤務時間を把握できるようにするなど、一定の改善がなされていることの説明はありました。しかし、PCを利用していない勤務時間の把握や、超過勤務過多となった際の対応については、必ずしも十分ではないとの印象をもたざるを得ない内容でした(現に、本件後、複数名の方が超過勤務等を原因として自死するに至った旨の報道等に接しているところです。)。
 また、公務上の災害と認定された理由については、「客観的な業務内容、時間外勤務の状況、その他の事情」を踏まえると公務起因性が認められた旨の説明こそあったものの、公務上の災害に関する認定であることを理由に、時間外勤務以外に我々が問題視をしている当時の上司の言動等に対する評価はなされなかったとの回答でした。
 当事者である2名の上司から、何らかのコメントを頂くこともできませんでした。
 我々としては、上司が行った、亡くなった検察官に対して行った言動等につき、その細かな経緯、理由、業務上の必要性等に関して、本人の話等も含めて調査、評価がなされることを期待していた所ですが、これについては、期待していた回答が得られなかったこととなります。
 今回の法務省らからの説明を受け、本件と同様の事案が本件後に複数発生していると聞き及んでいる状況を踏まえ、亡くなった検察官のご家族からは、「事案から約4年が経過しているが、気持ちとしては何も変わっていない。子どもは、検察官という仕事について、起きたことについて向き合い、原因を深く掘り下げ、相手にしっかりと納得させて完結する仕事である、ということをよく言っていた。子どもが誇りを持って就いた職場で、二度と同じことを起こしてはならないという気持ちであるし、そのために、徹底的な原因究明とそれを前提とした再発防止策の策定は不可欠と考えている。
 今回、法務省からは、公務災害の認定に当たって必要な点のみを認定したとの理由から、叱責を受けたことに対する評価には立ち入っていない旨説明を受けたが、このような対応で、本当に再発防止が期待できるのか、疑問といわざるを得ない。」

 とのコメントを頂戴しているところです。

 今後、我々としては、前述した点についてさらなる事案解明等に努めるため、国家賠償請求訴訟等の提起を含め、活動をしていく予定です。

 引き続き、お力添え頂けますと幸いです。

広島地検から法務省に対する災害の報告を行った旨の報告を受けました。

 先日、令和4年11月11日、法務省及び広島地方検察庁から、我々が行っていた災害が公務上のものであること認めるよう求めた申請に対し、補償事務主任者である広島地方検察庁から実施機関である法務省に対し、災害の報告が令和4年9月30日に行われた(人事院規則16−0第20条)旨の報告がありました。

 災害報告の内容には、事実関係を精査して整理する補償事務主任者の意見が付されているのですが、こちらの意見につきましても、当方の意向を汲んだ内容となっていたもので、最終的な認定を行う実施機関である法務省が、前記規則22条に基づいて、「速やかに」公務上のものであるかどうかの認定を行わなければならないことになります。

 ただ、規則上は、速やかにとはなっているものの、実際にどれくらいの時間がかかるかということは不明であり、長い場合には1年単位の時間がさらにかかってくるおそれもあります。

 我々としては、ハラスメント関係の認定に関して曖昧となっている点が残っていることや、最大の関心事である再発防止に関する具体的なアクションに関して説明が及ばなかったことなど、課題は残ってはいるところです。

 しかし、一歩一歩ではありますが、歩みを進められていることは確認できたところであり、ここに皆様にご報告をさせていただく次第です。

 引き続き、暖かい目で見守っていただけますと幸いです。

はじめに

本サイトをご覧いただきましてありがとうございます。

我々は、令和元年12月に広島地方検察庁で発生した検察官の自死事案に関して、広島地方検察庁ないし法務省等に対して、事案の真相に関して詳細な調査及び認定を求めるなどしてその究明を行うとともに、活動全体を通して、検察庁における職場環境を少しでも改善していただくことを目的として活動をしています。

そして、この活動をするにあたりまして、我々弁護団やご家族の意見を直接、世間の皆様にお伝えする手段として、本サイトを開設させていただくに至りました。

本サイトは、意見交換を目的とするものではなく、情報の提供を目的としておりますので、各記事に対するコメントは受けられないように設定しております。

そのため、ご意見やご相談等、連絡を取る必要がある場合には、連絡フォームからご連絡をいただけますと幸いです。

本サイトについて

本サイトは、令和元年12月10日、広島地方検察庁で発生した検察官検事の自死事案に関して、同事案の弁護団の活動報告等を目的としたサイトです。

本サイトに掲載されている文章、画像、映像等一切の著作物に関する利用等をご希望される場合には、コンタクトフォームから連絡するなどして、弁護団に連絡をいただくようお願いいたします。